かんぽ生命 先進医療百科

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ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術

ひあるろんさんをもちいた せいりがくてきせいしせんたくじゅつ

適応症

不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊または一般不妊治療が無効であるものであって、これまで反復して着床または妊娠に至っていない患者に係るものに限る。)

技術の実施期間

2022/04/01~

療養内容

1)対象及びランダム化
・ICSI 適応患者で、ICSI 後に反復流産や着床不全がみられた患者。または、夫が奇形精子症の患者を対象とする。説明後同意が得られた対象をICSI 群とPICSI 群の2 群にランダムに振り分ける。
2)卵子・精子の処理
・採卵の3 時間後にヒアルロニダーゼを使用して裸化を行い。第一極体が放出されている卵子を成熟卵とし、ICSI の対象とする。
・採卵の朝に採精してもらい15~30 分液化させた後マクラーカウンティングチャンバーで一般精液検査を行う。正常形態率は精液の塗抹標本作成後にDiff-Quik で染色を行い、strict criteria に準じて求める。
・精子の処理はIsolate2 層法で行い、再度洗浄した後に沈渣を0.5ml に調整してインキュベートしておく。
3)HBA アッセイ
・調整後精子はICSI の前にHBA○R Assay を使用してHBA スコアを求める。
・ヒアルロン酸がコーティングされているスライドガラスに調整後精子を5~10μl滴下し、カバーガラスを被せる。
・室温またはインキュベーターでしばらく静置し、ヒアルロン酸に結合している運動精子の割合を求める。
4)ICSI 手技と胚培養
・精子の選別、不動化、インジェクションピペット内への充填はICSI 群ではPVP をPICSI 群ではSpermSlowTM を使用する。
・ICS 群の精子選別は、PVP の上端まで泳ぎ上がった中で形態の良好な精子を培養士が目で見て行う。
・PICSI 群の精子選別は、SpermSlowTM とGamete Buffer のドロップの境界でヒアルロン酸の3 次元ネット構造に捕まり限りなくゆっくり動いている精子を選んでいく。
・精子の注入を終えた卵子は、single step medium を使用し30μlでドロップ培養を行う。
5)胚凍結と胚移植
・培養5 日目から6 日目に胚盤胞になった胚をvitrification 法で凍結保存する。
・胚移植は原則として凍結融解単一胚移植にて行い、移植の際はグレードの高い胚盤胞から優先的に移植し両群に偏りが生じないように注意して行う。
6)評価項目と評価タイミング
・評価する項目と評価するタイミングは以下の通り行う。
① Day1
正常受精の確認。雌性前核と雄性前核の両方が確認できた胚(2PN 胚)を正常受精卵と判断する。受精率は、正常受精卵数/MⅡ卵子数×100 (%)で算出する。
② Day3
形態評価によりグレード1 胚率を求める。Veeck の分類に基づきDay3 における胚の分割速度も考慮し、割球の数は6 細胞以上、割球の大きさが均等でfragment の無い胚をグレード1 胚とする。グレード1 胚率は、グレード1 胚数/正常受精卵数×100 (%)で算出する。
③ Day5
Gardner の分類に基づき、胚盤胞の形態評価を行う。3BB 以上の胚盤胞へ発生した割合を求める。胚盤胞到達率は、3BB 以上の胚盤胞数/継続培養数×100 (%)で算出する。
④ 妊娠率と流産率
移植後14 日目前後の血中hCG 濃度が陽性で、移植から6~8 週の時点で胎嚢(GS)が確認できた時点で臨床的妊娠と判断し、妊娠率を求める。妊娠率は、臨床的妊娠数/移植数×100 (%)で算出する。臨床的妊娠後、流産が起きた場合は流産率として記録する。流産率は、流産数/臨床的妊娠数×100 (%)で算出する。
⑤HBA スコア
処理後の精子をICSI またはPICSI に使用する前にHBA○R Assay を用いてHBA スコアを求める。
HBA スコアは合計で200 個の精子をカウントし、ヒアルロン酸に結合した運動精子/ヒアルロン酸に結合した運動精子+ヒアルロン酸に結合していない運動精子×100(%)で算出する。

※当サイトの技術情報は厚生労働省ホームページより引用しております
引用元:先進医療の各技術の概要|厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html)

  • 現在実施中の医療機関
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手術 手術
先進医療特約のほか、総合医療特約の支払いの対象となる「手術」です。
手術 放射線治療
先進医療特約のほか、総合医療特約の支払いの対象となる「放射線治療」です。

※当サイトの技術情報は、厚生労働省ホームページより引用しております。

※データ収集は2012年7月1日より行っているため、実際の開始時期とは異なる場合があります。

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