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短腸症候群または不可逆的な機能性小腸不全に対する脳死ドナーからの小腸移植

たんちょうしょうこうぐん または ふかぎゃくてきなきのうせいしょうちょうふぜんにたいする のうしどなーからの しょうちょういしょく

適応症

短腸症候群または不可逆的な機能性小腸不全(経静脈栄養を要するものであって、経静脈栄養の継続が困難なものまたは困難になることが予測されるものに限る。)

技術の実施期間

2011/08/01~2017/03/31

療養内容

短腸症候群、機能的不可逆性小腸不全のために経静脈栄養から離脱できない症例が静脈栄養の合併症などによりその継続が困難となった場合、正常な栄養状態、発育は維持できず、経静脈栄養の中止は多くの場合致命的である。また、経静脈栄養の合併症そのものも生命を脅かしQOLを著しく低下させるものである。このような症例に対し小腸移植を行うことにより経静脈栄養からの離脱が可能となり、重篤な静脈栄養の合併症を回避できるだけでなく、経口摂取が可能となり、点滴、カテーテルから解放され、ほぼ正常の日常生活をおくれるといった著しいQOLの向上を図ることができる。脳死ドナーからの小腸移植では、小腸と結腸の一部をその部位を還流する血管を含めて切除し、レシピエントの血管と吻合し、同所性に移植する。小腸は全腸管の長さの1/3以内(約1~2m)であればその一部を切除しても機能に影響がないため生体ドナーからの臓器提供が可能であるが、特に成人のレシピエントの場合には小腸の全長と、場合によっては結腸の一部も移植可能な脳死ドナーからの移植が栄養、水分吸収などの面で有利である。本邦において脳死ドナーの不足は深刻な問題であるが、現在年間十数例の脳死下の臓器提供が行われるようになり、我々の5例の脳死ドナーからの小腸移植の経験からは、そのうち約半数のドナーから移植可能な良好な小腸グラフトの採取が可能であり、レシピエントは1-9ヶ月間の待機で脳死ドナーからの小腸移植が可能であった。生体ドナーからの移植には健康なドナーを手術するという倫理的な問題も存在し、また上述のように小腸の一部しか移植することができないため、成人のレシピエントで数ヶ月間の移植待機が可能な医学的緊急度のそれほど高くない症例に対しては脳死ドナーからの移植を積極的にすすめるべきであろう。経静脈栄養を受けている患者は国内に約3000例以上存在し、うち数百例は潜在的な小腸移植の適応症例と考えられ、年間約数十例の新規適応患者が発生すると試算されている。脳死ドナーからの小腸移植は今後、短腸症候群/小腸機能不全に対する根治的治療となり得るものと考えられる。

※当サイトの技術情報は厚生労働省ホームページより引用しております
引用元:先進医療の各技術の概要|厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html)

  • 現在実施中の医療機関
  • 過去に承認されていた医療機関
  • 都道府県

    機関名

    所在地

    電話番号

    実施期間

  • 宮城県

    東北大学病院

    〒980-8574
    仙台市青葉区星陵町1-1

    022-717-7000

    2012/07/01~2017/03/31

  • 京都府

    京都大学医学部附属病院

    〒606-8507
    京都市左京区聖護院川原町54

    075-751-3111

    2012/07/01~2017/03/31

手術 手術
先進医療特約のほか、総合医療特約の支払いの対象となる「手術」です。
手術 放射線治療
先進医療特約のほか、総合医療特約の支払いの対象となる「放射線治療」です。

※当サイトの技術情報は、厚生労働省ホームページより引用しております。

※データ収集は2012年7月1日より行っているため、実際の開始時期とは異なる場合があります。

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